第20回北丹沢12時間山岳耐久レース(以下、キタタン)参戦記 ~大会レポPart2~

★立石建設から第一関門まで(11.19km~18.59km)

立石建設といっても建設現場があるわけでも事務所的な建物があるわけではない、

と思う。あまりのんびり周りを見渡す余裕はさすがになかった。

とりあえず水をもらって、水を入れる。

今飲むためにも必要だが、これからのために持参していたペットボトルに入れないと。

以前の準備編

  水、食料などザックに入れ

と紹介しましたが、最初から全行程分を持ちあることは愚行かと。

最初の給水所(平丸でなく、実質この立石建設)までの10kmちょっとの間で、給水が必要なければ、スタート時には空のペットボトルを数本入れておければいい。

そして、途中の給水所で、次の給水所までに必要な分を補給する、を繰り返せばいいわけです。

さて、この立石建設の給水所を過ぎると、次の給水所は第一関門でもある「神の川ヒュッテ」。

距離にして7.4kmなので、平地であれば40分ぐらいで着くところだが、780M登って700M降りるので戦前の見積もりでは2時間15分

平地の3倍以上!?

なかなか勇気のいる見積りだったと思う。

そんなにかかるか?

これが仕事で、上司に通常の3倍以上かかります、っていったらまず跳ね返されるだろうな。

根拠を示せと。

————–根拠開始

ベースとなる指標はやっぱり大山かな

  阿夫利神社下社から頂上までの約1.6km
  高低差530M(678M⇒1252M)
  上り45分、下り30分

  1回でも行っておいてよかったとつくづく思う。

それを基にした見積もりが以下

約4kmの登りは間に鐘撞山(かねつきやま)があるので、2つに分ける。

  区間距離 高低差 予想時間
立石建設~鐘撞山 1.4km +400M 40分
  大山より若干短く、高低差も少ない
鐘撞山~県境尾根分岐 2.5km +380M 50分
  大山より1.5倍ぐらい長いが、高低差が少ない
県境尾根分岐~神の川ヒュッテ 3.5km -700M 45分
  大山の倍だが、高低差はさほどない

 

こう見ると、鐘撞山を境に前後半を分けると、ほぼ同じ高低差にもかかわらず、距離が違う。

ということは

  「鐘撞山まで」のほうが「鐘撞山から」より勾配がきつい

ということが言える。

  鐘撞山まで頑張れば、後半多少楽になる

ということをあらかじめ知っておくのと知らないのでは、精神的・心理的にかなり違うと思う。

————–根拠終了

とまあ、もっともらしいことを述べてみたのだが、実際走ってみるとちょっと違う。

詳細はこの後。

実際に走って見て、戦前の予想と大きく違ったのは以下の3点

 

1.前半つづら折り、後半直登

今さらながら、事前に大会事務局から送られてきた地図をよく見ると、立石建設と鐘撞山の間にはつづら折り(ある坂をまっすぐに上るのではなく、左右ジグザグに上っていくこと)の箇所がある。

  つづら折り見本

まっすぐ上るより傾斜が緩やかになるので、比較的楽に上れる。

あくまで比較的。

きついには違いない。

で、鐘撞山からの後半にはつづら折りはない。

つまり真っ直ぐ登る、まさに直登(ちょくとう)。

だから事前に

  「鐘撞山まで」のほうが「鐘撞山から」より勾配がきつい

と言ったが、

  「鐘撞山まで」はつづら折り(一部)
  「鐘撞山から」直登

となっているので、大して変わらんかな。

むしろ直登のほうがきついぐらい。

ということで結論:

  立石建設からの登りは一貫してきつい
  覚悟して登るべし

とはいっても、自分の見積もりでは「県境尾根分岐」まで所要1時間半。

平地なら20kmぐらい走れる時間。

それを距離表示なしっていうのもねえ。。

途中、鐘撞山以外に何か目印ないのかよ、と思って地図からピックアップ。

それを国土地理院で標高と区間距離を調べた。

 場所  スタートからの距離  標高
 立石建設  11.2  500
 右折すると別のコース  11.6  560
 火の用心看板  12.1  735
 鐘撞山  12.6  900
 左折すると別のコース  13.5  934
 県境尾根分岐  15.1  1280

 

ただ、はっきり言って無意味。

夢中になって歩いていたせいか、目印を見つけられず (-_-;)a

山中は、今どこにいてあとどれくらいかはわからないと言ってもいい。

自分なりの所要時間を見積もって、その時間に対して何分経過したから今どの辺にいて、あと何分経ったら登りきると考えるのが得策。

ちなみに「かねつき」というぐらいなので、鐘撞山に近づくと本当に鐘の音がする。

といっても善意で鳴らしてくれる人がいるのだが。

そのため、タイミングによってはあまり聞こえなく、実際自分の時もかなり間際にならないと聞こえなかったので残念ではあった。

ここまでの記録

場所 距離 目標 実績
平丸 1.2km ※1 12″00 13″40
分岐右折 2.26km 37″00 38″09
ロード開始 2.9km 46″00 48″15
神の川キャンプ場 8.34km 1’19″00 1’17″15
立石建設 11.19km 1’40″00 1’34″59
鐘撞山 12.59km 2’21″00 2’12″39

※1)実際は1.8kmぐらいだと思う

2.鐘撞山すぎに普通に走れる区間あり

上の「立石建設から県境尾根分岐までの目印」はあまり役に立たなかったが、

鐘撞山がスタートから12.6kmで標高900Mに対し、

その先の13.5km地点が標高934Mというのが興味深い。

その差900Mあるのに標高差が34Mしかない。

これはどういうことかというと、

  鐘撞山をすぎると軽く普通に走れる区間になる

それまで耐えに耐えて「登る」ことを強いられてきた登山者にとって、

「走る」ということがどれほど快適なことかを思い知らされる。

まるで野に放たれたうさぎ 🐇 のように。

ただ、若干複雑な気持ちになる。

登り切った後ならともかく、ようやく半分。

それなのに下るのかよ。

そうなんです。

鐘撞山をすぎると軽いアップダウンがあり、軽快に距離が稼げる。

ただ、せっかく登ってきたのに下るということは、それ以上に登らなければいけないということで、

  自然に逆らえない自分の無力さを痛感する

わけであります。

ここまでの記録

場所 距離 目標 実績
平丸 1.2km ※1 12″00 13″40
分岐右折 2.26km 37″00 38″09
ロード開始 2.9km 46″00 48″15
神の川キャンプ場 8.34km 1’19″00 1’17″15
立石建設 11.19km 1’40″00 1’34″59
鐘撞山 12.59km 2’21″00 2’12″39
県境尾根分岐 15.09km 3’10″00 2’54″20

※1)実際は1.8kmぐらいだと思う

ここまではいいペースか。

  目標3時間10分

に対して、

  実績2時間54分

16分の貯蓄。山下りに1時間かかっても第一関門4時間切りは達成できる見込み。

結局、立石建設から県境尾根分岐までの「登山」は、

  距離 3.9km
  予想 1時間35分
  目標 1時間25分
  実績 1時間19分21秒

で、なかなかの見積もり精度。

目標よりちょっと短めというのがいい。

立石建設から1時間25分後に登り切れると思っていて、

5分ちょっと早く着いたことになるので、

  え?もう?

となり、ちょっと得した気分になる。

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